2007年07月09日

雑誌「ガバナンス」で、大暴れ(元原稿)

雑誌「ガバナンス」へ寄稿し、2007年5月号に掲載されました。

その元原稿です。

もう掲載誌は、書店店頭にありませんので、ここでお読みいただければと思います。

「この6年間」

 平成12年秋の県知事選挙で、長野県民は作家の田中康夫氏を知事に選んだ。その選挙では、県職員から公職選挙法違反の逮捕者も出て、いわゆる「県庁一家」の「組織ぐるみ選挙」との批判が、県組織や職員に寄せられた。こういった批判に対して、当時県上層部が内部調査で十分としたことに、わたしは憤りを覚え、突き動かされるように、地元紙へ異を唱える投稿をした。県民意識からの乖離は、さらに大きな不信感を招くと指摘し、再考を求めた。実名での投稿掲載をきっかけに、わたしの職場、自宅には、県職員しか知り得ない内容の脅迫、非難の手紙が連日届いた。それらはすべて、住所もなく匿名であった。

 わたしはその後も、庁内職員用掲示板への投稿や、実名のブログの開設で、自らの意見を積極的に明らかにすることで、決意を態度で示した。それらがまた、ネット上で引き続き、誹謗や中傷にさらされることになった。
 
 ところで6年間知事を務めた田中氏は、「バイネームで、仕事を!」と職員に対してしばしば求めた。名前を出すことで県民からより身近に見える、ときに厳しい言葉をかけられても、それが職員自身を鍛えるとのこと。額面通りに受け取れば異を唱えづらく、強烈なトップダウンによる結果でもあったが、職員は電話を取ったらまず名乗るようになり、顔写真入りの名札を身につけるようになった。
 田中氏は職員を抵抗勢力に見立てるなどし、組織全体をうまく動かすことができないまま、結局6年で知事の座を去った。田中県政にはさまざまな評価があるが、電話対応と名札着用は今でも目に見える形で残っている。
名を名乗ることへの抵抗感は、やらされた結果であるとはいえ、徐々に克服されてきている。

 先日わたしは、地元紙から取材を受けた。「県職員として、田中県政6年間を振り返る」との趣旨であった。県職員という「世間」が、内部の異質な者による組織批判の実名投稿や、その後の実名ブログ開設という行動に対して向けた、強い反発や嫌悪感について記者に語り、それが記事になった。
 しかし今度は、脅迫、非難、誹謗、中傷は、まったくない。この変化をどう見たらよいのか。この6年間の自分の道筋を振り返りつつも、周囲のあまりにもわかりやすすぎる反応に対して、いさかか戸惑ってもいる、このごろのわたしである。



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Posted by 小毬藻 at 08:00│Comments(2)大暴れ
この記事へのコメント
ども こんにちわ

ふと気が付いたら、貴殿のブログの読者でした。
もうどのくらい前からでしょ
ワタシの従兄弟も、義弟も県職員です。
ですが当時、田中県政に対する本音は聞いたことありませんでした。(今でも)

そんな時、出会ったのが貴殿の実名入りブログでした。
県職員が何を考え仕事してるのか。興味本位で・・・
コイツ実名でよくやるなぁってな感じで。失礼

今ではこまりもさんのファンとして読んでいますよ。
Posted by kobay at 2007年07月09日 12:30
kobay さま

コメントをありがとうございました!

>県職員が何を考え仕事してるのか。興味本位で・・・

わたしは、「本流」の県職員からは、かなり離れていますから・・・・。

※ たぶん多くの皆さんが、「いかにも!」と思える県職員が、いわゆる「本流」です。

>今ではこまりもさんのファンとして読んでいますよ。

ありがとうございます。

これからも、明るく楽しく、身の回りの日常のできごとを綴っていきますので、ぜひぜひお付き合いくださいませ。

よろしくお願いいたします。
Posted by こまりも at 2007年07月10日 22:57
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